新車ディーラー営業マンにとっての「納車」とお客様にとっての「納車」

新車営業マンに生じやすいお客様との「意識のズレ」

今回、新車ディーラー営業マンにありがちな「お客様との意識のズレ」についてお話ししてみます。

これまでの記事の中で何回か、自動車営業マンと不動産営業マンの違い、商品特性の違いなど、両者を経験した立場からの考えをお話ししてきています。

その中でチラッと、自動車営業マンはお客様との間で「意識のズレ」が生じやすいというお話しをしたことがあります。

該当記事⇒「住宅購入」人生最大級のイベントも営業マンとお客様の意識の差

その際は不動産営業についての「意識の差」という内容でしたが、そこで触れた自動車営業マンとお客様との間に生じやすい「意識のズレ」という部分について、少し具体的にお話しします。

私が扱っていたのは某輸入車ではありましたが、これは国産車であろうが輸入車であろうが変わらない、現在の日本での自動車の販売方法からすると致し方ない部分から起こりうる・・・ものだと考えられます。

「お持ち帰りですか店内でお召し上がりですか?」とはいかない車という商品

皆さんも車を買う立場、多くの方がご経験あるとは思いますが、「この車欲しい!」と思って「買うことを決めた!」として、注文書にサインして・・・。

でも、その「買う!」と決めたその車、持って帰る(乗って帰る)ことはできませんよね。

たまにショールームのウィンドウに「即納車可能‼」なんて掲示されているものも見かけますけど、それは在庫車があって「最短で納車が可能」というだけであって「注文書にサインをして持ち帰る」ことはできないことはご存知のとおりです。

仮に在庫車があって、というか在庫車を選んだとしても、一般的に車庫の場所(保管場所)の管轄の警察署に車庫証明を提出し、数日後に受領し、それとともに管轄の陸運事務所(陸運局)へ書類等を持ち込んで「登録」、いわゆる「ナンバーが付く」という手続きになります。

当然在庫車であろうと何であろうと「納車前点検」という名目での整備も必要です。

在庫車であっても、と言いましたが、場合によっては数か月待ちということは大いにあり得ます。

特に輸入車ですと、注文をもとに本国にオーダーをかけ、生産開始~完成、現地の(本国の)港に到着、船に乗りました・・・、その船の入港予定がいつで、入庫がいつで・・・、なんてことで、平気で数か月ですとか半年ですとかね。

念のため言っておきますと、ご存知の方もいらっしゃるとは思いますがさっき出てきた「車庫証明」は日本全国どこでも必要なわけではなく、一部では不要な地域もあります。

とはいえ、注文して持ち帰りはできませんけどね。

新車ディーラー営業マンにとっての「ビッグイベント」とは

ようやく本題ですが・・・、常日頃から台数に追われる営業マン。

まずは「注文書」にサインをいただく、もちろんそれまでには様々なプロセスを経るわけですが、そのサインをいただくことが、営業活動の中でかなり大きなウエートを占める「ビッグイベント」なんです。

営業マンの気持ちが一番盛り上がる時です。

そりゃあ、わかりますよね。

ところが、お客様の気持ちの「盛り上がり」具合はまだまだなんです。

むしろ「盛り上がる」どころが、注文書にサインをしたこと自体に若干の後悔の念すら抱いてしまうこともあります。

「買う」ということ自体は揺るがなかったとしても、本当にそのグレードで良かったか、そのボディカラーで良かったか、支払いは大丈夫か・・・。

ほとんどの場合、そのあたりの気持ちの整理がついて、さあ、今度は「納車」に向けて徐々に気持ちが高まっていくわけです。

「営業マンの意識」の方に戻りますが、「注文書にサインをいただく」というビッグイベントを終え、車両の手配や車庫証明、登録の日程調整など・・・、その間にも「次の1台」をやらなければなりません。

そうやって「納車日」を迎えるわけです。

では、お客様にとっての「ビッグイベント」とは?

この「納車」というイベント、お客様にとっては一番の「ビッグイベント」であることはほぼ間違いありません。

補足すれば、欲しかった車がようやく納車され、そして実際に運転してみる・・・。

しばらくはその「ビッグイベント」状態が継続するかもしれません。

ところが、この、お客様にとっての「ビッグイベント」である「納車」というイベント、営業マンにとってはあくまでも単なる「業務」のひとつ、となってしまっている営業マン、結構いるんです。

無理もありません。

自分も経験してきましたから。

この、営業マンとお客様との間の気持ちのギャップ、これが多くの場合で「次の悲劇」を生んでしまうことにもなるんですよ。

その辺、次回以降またお話ししたいと思っていますので、よろしければお付き合いください。では。

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