重要事項説明…まさしく読んで字のごとく「重要な事項の説明」なわけですが、身近なところでは主に宅地建物の取引、保険の販売などの際に必須であり、重要事項説明書を用いて説明され、確かに重要事項の説明を受けたという意味で記名押印が必要となります。
今回はマンション購入を考えている方に向けて、この重要事項説明について不動産営業経験の立場から「ある提案」をしてみます。
中身はこんな感じ
モデルルーム見学は省略できても…「重要事項説明」は省略できません
これまでも何回か記事にしてきましたが、「自分の城」ともいえるマイホームを購入、そしてその新居での生活がスタートするまでの間にはかなりの期間にわたって様々なイベント事、手続きが存在します。
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そのプロセスの中で、最も重要なイベントとなるのが売買契約手続きです。
もちろん物件選び、住宅ローンの手続き、そして引渡し等、いずれも重要なイベントであることは確かですが、気持ち的にも、また法的にもという意味で最重要となるのが売買契約手続きでしょう。
そしてこの売買契約手続きに付随して、といいますか売買契約手続きに臨む前段階で完了しておかなければならないイベントが「重要事項説明」となります。
極端なことをいいますとモデルルームの見学すらしないで購入を決め、売買契約手続きに進む方もいます。
ですが、契約手続きに進むためには重要事項説明を受けていただく、そして「説明を受けたよ」という意味での記名押印がいただけなければ売買契約手続きには進めません。
そもそも不動産購入にあたっての「重要事項説明」とは何ぞや!
あらためて「重要事項説明」、そしてその説明が記載された「重要事項説明書」というのはこういうことです。
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。宅地建物取引業法第35条
この引用文中にある「少なくとも次に掲げる事項について」という部分、たくさんありますのでここでは省略です。
…で、この重要事項説明、引用文中にもあるように「契約が成立するまでの間に」説明を受け、記名押印をしなければなりません。
そして今回特に話題にしたいのはこの「契約が成立するまでの間に」という部分、実際には「契約が成立する直前」であることがほとんどなんです。
専門用語を使って一方的に説明される…理解には程遠い「重要事項説明」
確かに「直前」であっても「契約が成立するまでの間」であることは間違いありませんが、説明を聞いて考える、再検討する時間的余裕もありません。
特にこの重要事項説明、専門用語のオンパレード。
説明する宅地建物取引士によっては丁寧に解説しながら、噛み砕いて説明してくれますが、みんながみんなそうだとも限りませんし、聞く側にしてみても理解度はそれぞれです。
ましてや重要事項説明書を棒読みするだけでも通常1時間以上かかるのが一般的、解説しながらともなると2時間や3時間なんてこともザラです。
説明を受けている側も最初の内は所どころ質問をはさみながらも、後半はもういいやって気にもなりかねません。
さらに言えばこの重要事項説明、主に前半は割とありきたりの、定型文を使ったような内容、ところが後半部分に「特記事項」などの見出しに続いてその物件特有の「知っておくべき事項」が集中している傾向があります。
ですので後半部分ほど特に質疑応答があるはずなんです。
以前の記事でも紹介した「こんなはずじゃなかった」の中の例えば駐車場の優先住戸のことや抽選方法についての説明…これらもどちらかといえば「後半部分」で説明があるはずです。
重要事項説明の直後の売買契約…内容を振り返る時間的余裕もないかも
そして、「以上で重要事項説明を終わります」から「それでは説明を聞いたという記名押印をお願いします」となり、その後「契約手続きに入ります」という、怒涛の流れに乗ることになります。
そこでぜひ、一息入れさせてもらいましょう。
あらためて重要事項説明書を1ページ目から目で追ってみるべきです。
疑問点や懸念点は持ち帰らないようにすべきですね。
だって、先程の「怒涛の流れ」に乗った後には、すでに契約が終わってしまっているわけですから。
ここでちょっと話しはそれますが、この重要事項説明書や売買契約書の記名押印のために「実印を持ってきてくれ」そして「実印で押印」と言われることがあるようです。
念のため言っておきますと、これ、実印である必要はまったくありませんから。
印鑑証明書を添付するわけでもありませんしね。
もちろん認印であろうが実印であろうが、その効力に違いはありません。
ただ、契約行為を重くとらえてもらいたいがために「実印で」という案内をしている会社もあるようですが、ようはどちらでもかまいません。
提案…重要事項説明書をできるだけ早い段階で入手、そして検討材料に加えるべし
今回、新築マンションのみならず不動産の購入を検討している方々に提案したいこと…です。
それはその物件の検討のなるべく早い段階で「重要事項説明書」の写しをもらっておきましょう。
特に説明書本書だけではなく、添付図書(重要事項説明の付随資料集のようなもの)ももらえるように担当営業マンにお話ししてみましょう。
早い段階だと、まだ作成中などと言われがちですが、その時点での案文でもいいんです。
渡せない段階、ということもあり得ますが、もちろん渡せる段階になったら、でもOKです。
少なくとも、売買契約直前になります、なんてことはあり得ません。
後半部分の「特記事項」には特に知っておくべき事柄が…だから「特記事項」です!
この申し出に難色を示すようでしたらそれまで…その物件の検討を考え直してもいいかもしれませんよ。
確かに「面倒くさい客だなぁ」と思われるかもしれませんが、一生に何度もない大きな買い物をするかしないかの「重要な」検討材料のひとつです。
だから「重要事項説明」なんです。
そして物件の検討と並行してこの重要事項説明書に目を通してみましょう。
特に後半部分に位置している「特記事項」の内容です。
先ほども取り上げた駐車場の優先住戸や抽選方法の部分、またこれも以前に取り上げた将来の修繕計画に伴う修繕積立金のこと…。
残念な結果になるとしても…契約直前に判断を迫られることは避けるべき
疑問や懸念と感じた事柄は、遠慮なく担当営業マンに質問しましょう。
また、質問するまでもなくても自分で調べることができることもあるかもしれません。
少なくとも、売買契約の直前に初めて渡されて、専門用語で一方的に説明をされることを考えれば不安の度合いは天と地でしょう。
結果として、その物件の検討をあきらめる、断念する、ということもあり得ます。
でも、重要事項説明書を早めに目を通すことによって残念な判断を下す材料があり、検討を断念することになったとした場合、その内容を売買契約直前に知ったとしたら…と考えると、ちょっとゾッとしませんか?
ようするに、物件を検討するということはそういったことも含めて検討、のはずです。
最後に繰り返します。
重要事項説明書をなるべく早く入手し、検討材料のひとつに加えましょう。
「重要事項説明書の早めの入手でポイント押さえ…マンション契約前にすべきこと」を最後までお読みいただき、ありがとうございました。では。