「完全予約制」のマンションモデルルームが増えたわけ|納得できるその狙いとは

街中で見かける新築マンションのモデルルーム。

購入を全く考えていなくとも、モデルルームを見てみたい…という思いを持ったことがある方も多いはずです。

単なる興味本位、またインテリアなどにちょっとでも興味があればなおさらです。

「ちょっと見せてもらおうか」というくらいの気持ちで入り口の前の看板を見ると「完全予約制」の文字が…。

さて、モデルルームの「完全予約制」とは。

「モデルルームを見てみたい」きっかけはそれだけかもしれませんが…

「予約をしないとモデルルームの見学はできないの?」

冒頭で紹介した、街中で偶然見つけたモデルルームをふらりと見せてもらいたかったものの、看板の「完全予約制」の文字を見つけて足止め。

大抵、その看板にはフリーダイヤルが大きく書かれていますから、その場から電話をかけてこのような質問をされるお客様もいらっしゃいます。

「今、目の前にいるんだけどさ…」というひとことも加わります。

電話に出るスタッフがどう対応するかわかりませんが、考え方として1分後とか5分後の予約をしたいというのと同じと考えれば、この方の行動は間違ってはいません。

この場合、これはもう当たり前の解答になっちゃいますが、単純に案内できるスタッフがいれば受け入れる(見学できる)、そうでなければお断り(見学できない)、という結果になるはずです。

イレギュラーのパターンとして、案内できるスタッフがいなくとも、お客様だけで自由に見学してもらい、アンケートの記入と引き換えにパンフレットを差し上げるという方法をとるケースもあります。

億ションでは当たり前だった「完全予約制」…今ではそれがスタンダード

新築マンションのモデルルーム見学の集客スタイルとしては、

  • 完全予約制
  • 予約制
  • 予約者優先
  • 何も明示せず(基本的にいつでもどうぞ)

のうちのどれかが当てはまるはずです。

このうち、このところ圧倒的に増えてきているのが「完全予約制」のスタイル。

お客様の立場からすると、一番敷居が高く感じるであろうこの「完全予約制」。

かつては都心部の億ションでは当たり前、確かに敷居は高かったことは間違いないわけですが、ある意味「上から目線」とも受け取られかねないこの「完全予約制」が一般のマンションでも取り入れられているのはなぜでしょうか

物理的な接客スペースのキャパシティ、効率的な人員配置のための「完全予約制」

広い意味になりますが、事業計画の段階から総戸数〇戸の物件を、いつから販売開始し、〇ヶ月で完売する…というような大まかな計画、そしてそのためには販売員が〇人必要で、接客ブースが〇卓必要、またそのためにどれくらいの広さの販売センター用地が必要か…。

そうやって事業計画を立てています。

逆に、物件規模に見合った販売センター用地が確保できない場合、接客ブース数は縮小、販売員数も縮小せざるを得ないこともあり得ます。

そんなことからも「いつでも、誰でも、ウェルカム」とはいかないことはわかります。

人気物件であるというイメージを持たせるための「完全予約制」

一生に何度もあるわけではなく、また決して安い買い物ではない「自分たちの城」の購入を検討しようとしている方々。

「不人気物件」を購入しようとする人は、まずいないと思います。

実際に見学の予約をしようと電話を入れ、予約の空き具合を聞いてみましたら、いつでもOK…なんてこともあるかもしれませんが、「予約をしないと〇〇できない…」という煽られ心理、ここでは「予約をしないとモデルルームすら見学できない」というような煽りです。

初来場の段階で「セグメント」のための「完全予約制」

冒頭部分で紹介した、「購入は全く考えていなくとも、ちょっとモデルルームを見てみたい…」。

まあ、かつての「イケイケ営業スタイル」ですと、「そんなキッカケの来場者に買ってもらってこそ…」とか、「判を押すまで帰すな」みたいな声も聞こえてきそうですが、言ってしまえば「買わない人は買いません」

極端に言えば、そんな「絶対に買わない」、さらに「絶対に買えない」人には見学してもらわなくてもいいわけです。(ここでまた、「絶対」はない!…それでも売るんだ!…というような声も聞こえてきそうですが、もうやめましょう。)

お客様商売としてどうなのよ、という声もあるかもしれませんが、先程も言ったとおり、やはりビジネスである以上、「効率」という部分も無視できません。

「絶対に買わない、買えない」相手に、接客ブースとスタッフが一定時間占領、拘束されることは決して効率が良いこととはいえません。

逆に、真剣にそのマンションの購入を検討するためのモデルルームの見学をしたいと考えている方にとっては、予約をするためにフリーダイヤルに電話を入れる労力は微々たるものでしょう

もっと言えば、その予約をすることにさえ抵抗があるような方は、来てもらわなくてもいいですよ…というくらいの気持ちです。

ちょっと暴言かもしれませんが、これは実際、営業マンの本音でもあります。

クレーム発生時のかわしトークのための「完全予約制」

「完全予約制」とうたっていながらも、予約なしの突然の来場者があった場合でも可能な限り対応することはあくまでも基本です。

とはいえ、本当に対応が不可能な場合もままあります

決して粗末な対応をするつもりもなく、丁重にお詫びをしあらためての日程調整をお願いするわけですが、それでも怒り出す方はいらっしゃいます。

その時に「完全予約制」と前面に出していることを材料にしつつ、なだめることになります。

その場合、「完全予約制」と「予約制」、この「完全」の有無でも説得力は異なってきます。

やはり「完全」の言葉の重みはあるわけです。

繰り返しますが、お断りをするのはよっぽどの時です。

それでも無制限ではありませんから「やむを得ず」お断りをせざるを得ない、その時の材料のひとつなわけです。

準備の上、待ってくれている…悪い気はしないはずの「完全予約制」

「チラシやネット広告で気になるマンションがあり、まずは見学をしてみたい。」

いつかはマンションを購入したいと、ぼんやりとでも考えている方ならまずはそう考えるはずです。

仮に「完全予約制」ではなかったとしても予約を入れたうえで出向く、という方も多いはずです

逆に「完全予約制」の販売センターに予約をせずに訪問したからと言って、100%門前払いされるというわけでもありません。

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しかし繰り返しますが、一生に何度もあるわけでもない大事な買い物をしようかという第一歩。

予約を入れた日時に行ってみると、受付女性から「〇〇様、お待ちしておりました。」と出迎えてもらえるのも悪い気はしないはずです。

たまに、連絡も入れずに平気な顔で30分や1時間遅れてくる方もいらっしゃいますが、やはりお互い、気持ちよくスタートしたいものです。

「上から目線」ともとられかねない「完全予約制」ですが、大事な買い物の検討を気持ちよくスタートするための第一歩とも言えるわけです。

『「完全予約制」のマンションモデルルームが増えたわけ|納得できるその狙いとは』を最後までお読みいただき、ありがとうございました。では。


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