購入検討中の新築マンションの「耐震等級1」って?|住宅性能表示制度の基準はこれ

購入を検討しているマンションの「耐震性」や「耐震等級」。

新築マンションの検討においては、まずは「場所」や「価格」の部分からスタートしていくことが一般的でしょう。

さらに次の段階で「設備」や「仕様」、そして「構造」の部分など気になり始めてくるはずです。

今回は「耐震性」、「耐震等級」について取り上げてみます。

マンション購入までのプロセスで必ず訪れる…「本当に買って良いのか」の想い

新築マンションを購入したい…それぞれ購入検討対象の条件は異なるでしょうが、まずは「場所」からスタートする方が多いはずです。

そして少しずつ検討が具体化していくプロセスの中で、そのマンション、「本当に買っても大丈夫なんだろうか」、というような気持ちも少なからず芽生えてくるはずです。

いや、この気持ち、もちろん新築マンションに限ったことではありませんけどね。

車やテレビを買う時にも、さらには日常品でもそうですが、必ず最終的な購入決断の前にはこの想い、多かれ少なかれ抱くはずです。

ただ、新築マンション、一生のうちに何度も購入するものではない、決して安い買い物ではない…だから失敗するわけにはいかない…なおさら「大丈夫か?」の想いは強いはずです

特に阪神・淡路大震災や東日本大震災、また今後「大きな地震の発生」というものが避けられない風潮も相成り、この「耐震性」や「耐震等級」に関する質問が増えていることは顕著です。

「耐震性は…?」の問いには「大丈夫です」で間違いではないものの…

新築マンションの販売現場において、お客様からたびたび質問を受ける項目のひとつが「耐震性はどうですか」。

何事でもそうなんですが、実はこの「~はどうですか?」という質問が一番答えずらいかもしれません。

ぜひ一度、モデルルームで聞いてみてください。

「耐震性はどうですか?」と。

販売員の立場からすると「大丈夫です。」なんですが、まあ、その一言で済ます担当者(まずいないと思いますが)でしたらちょっと、というかかなり疑問ですよね。

一方で「耐震等級はいくつですか?」という質問

この、一見同じような質問ですが、「耐震等級」という言葉を使っての質問をされると、「おっ、どこかで少し勉強してきたな」という印象を持ちます。

しかしおすすめは前者の「耐震性はどうですか?」です。

「耐震等級」は極端に言ってしまえば「1」か「2」か「3」か。

本来ならこの「1」か「2」か「3」か、の答えだけを聞きたいわけじゃなく、「耐震に対する考え方」のような部分を聞きたいはずです。

資料や説明もあるはず…「住宅性能評価」の中の「耐震性」

一般的には、最初にモデルルーム見学に販売センターに行った際にもらえるパンフレット類のセット、その中には間取り集や環境などのアピールポイントをまとめた写真集、またフローリングや建具類のカラーの選択肢をまとめた冊子などとともに、性能面をまとめた冊子などももらえるはずです。

一般的にこの冊子の中で、耐震性はどうだ、省エネについてはこうだ、セキュリティについてはこんなシステムだ…なんて感じでまとめられている資料があります。

「住宅性能評価」という言葉、何となく聞いたこともあるかもしれませんが、これは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて国土交通大臣登録の住宅性能評価機関によって評価されるもの、このうち設計段階における評価である「設計住宅性能評価書」をもとにその各性能を表示しています。

既にもらっているはずのその資料を見れば、気になる各性能、例えば今回取り上げている「耐震等級」が「1」か「2」か「3」かなどが明記されているとともに、補足する説明もあるはずです。

もちろん、全新築マンションの販売の際の配布物や説明資料を確認したわけではありません。

しかし昨今は、販売する(お客様側からすれば購入する)商品の、特に「品質」という部分には神経質にならざるを得ない風潮もありますので、形式はどうあれ、このような「性能」や「評価」を開示している資料はもらえるはずです。

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すべての建物は建築基準法に則して造られる…それが耐震等級「1」

さて、今回の話題である「耐震性」という部分に戻りますが、多くの新築マンションの「耐震等級」は「1」のはずです。

繰り返しますが「耐震等級」は「1」「2」「3」の3段階、このうち多くの、ほとんどの新築マンションは「1」です。

で、販売の現場でお客様から先ほどのような「耐震等級は?」というような質問があった場合、ストレートに「1です」と答えると、逆にこんな問いをされることがあります。

「1が一番いいんですか?」

お客様は単に、これから自分が購入しようかという新築マンション、当然のように「耐震性に問題があるはずはない」というイメージがあるからこその「追加質問」なわけで、そう思われるのもわかります。

住宅性能表示制度の「耐震等級」は3段階のランクで表示され、最高等級は「3」です。

もちろんこの説明も加えますが、そうすると一番悪い「1」で大丈夫なんですか?…となります。

…結論、「1」で大丈夫なんです、普通なんです。

…いや、「大丈夫」という言い方をしちゃうと誤解を受けるかもしれませんから「大丈夫」とは言わないことにしておきます

でも、それが「普通」なんです

そもそも、1981年施行の「新耐震設計基準」で設計されている現在の建築物。

この基準というのはあくまでも、

まず「構造躯体の倒壊等防止」という項目では
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)に対して倒壊・崩壊等しない程度』

また「構造躯体の損傷防止」という項目では
稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第2項に定めるもの)に対して損傷が生じない程度』

…という基準です。

一見良く似た二つの文言ですが、よく見ると「倒壊」と「損傷」、「極めて稀」と「稀」、「数百年に一度」と「数十年に一度」という部分が異なります。

ちなみにここで言われている地震の程度は「極めて稀」の方が震度6程度、「稀」の方が震度5弱程度が基準になっています。

「いや、これから先、もっと大きな地震があるだろ!」というツッコミも聞こえてきそうですが、あくまでも「現在の」建築基準法の基準です。

耐震等級「2」や「3」の建物とは…開口部や柱・梁の大きさはどうなる?

ところでこの「耐震等級」、一般的なマンションはほとんどが「1」であるというお話しをしましたが、では「2」とか「3」はどのような建物が該当するのでしょうか。

まず、災害発生時に重要な役割を果たすべき建物…例えば病院、消防署等災害時の拠点となる施設は1.5倍の耐震性能…これが「耐震等級3」相当、また災害発生時に避難所となる学校等の施設は1.25倍の耐震性能…これが「耐震等級2」相当…とすることを基本としています。

新築マンションの販売側の立場でしたら、最低限これくらいの(↑)補足説明を加えてもらいたいものですが…。

ちなみに最近のタワーマンションなどで採用されている「免震構造」の建築物はこの耐震等級の評価対象外となります。

(かつての一部マンションで「免震構造だから耐震等級2」みたいな広告を見たような気もしますが…)

建築の専門ではないので詳しい言い方はできませんが、マンション検討者向けの分かりやすい言い方としては先ほどの病院・消防署などの例とともに、窓(開口部)の大きさや柱や梁の大きさへの影響などを加えるとより理解してもらいやすいかもしれません。

気にする検討者は明らかに増えている…「耐震性」と「耐震等級」

今回、マンション購入者の多くが気にする…といいますか、気にする方が明らかに増える傾向にある、「耐震性」と「耐震等級」について記事にしてみました。

言い訳じみますが、建築の専門家でもありませんので詳細までは語れませんが、新築マンションの販売の現場でよく受ける質問、またそれに対する回答という視点でわかりやすい言い方で記事にしています。

縁あってこの記事を目にしていただいている方はもしかすると、まさに今、新築マンションの購入を検討している方、検討し始めている方、もしくは契約手続き直前の方かもしれません。

場合によってはお引っ越し目前の方かもしれません。

これまでの記事でも何度も言っていますが、疑問に思う事、わからない部分などはどんどん解決した上で前に進めていきましょう。

かつては一部で「耐震偽装問題」なんかもあり、また一方で現実的に発生している震災、そして今後かなりの確率で発生するであろうと言われている巨大地震。

決して建築基準法がどうだから大丈夫だとか、等級がどうだから安心できるとか…絶対的な保証などありえません。

しかし不安は解決しつつ、進めてもらいたいものです。

『購入検討中の新築マンションの「耐震等級1」って?|住宅性能表示制度の基準はこれ』を最後までお読みいただき、ありがとうございました。では。


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