販売中の新築マンションのチラシやホームページでたびたび見かける「FP相談会開催中」の文字。
この場合のFP=フィナンシャルプランナーであることは皆さんもおわかりだと思いますが、新築マンションの販売センターで、フィナンシャルプランナー(以下FP)と何を相談するのでしょうか。
FP…ズバリ言ってしまえば生命保険の営業マンですよね。
中身はこんな感じ
お金に詳しそうな第三者?…マンション購入検討者にとってのFP相談会とは
もちろん、新築マンションの広告宣伝の中でうたっているからには、販売側からすれば購入していただくための「背中押し」になることを期待、また購入を検討しようか、というお客様側からすれば「ちょっとお金に詳しそうな第三者」の意見も聞いてみようか、となるかもしれません。
で・す・が、念のため注意しておいてください。
今言った「ちょっとお金に詳しそうな第三者」の中で、「ちょっとお金に詳しそうな」の部分、間違いないでしょう。
次の「第三者」の部分…。
もちろん勤務先(保険会社)だけを見れば「第三者」です。
しかし、ほとんど、というか完全にと言ってもいいくらいマンションの販売側です。
FP相談会は誰のため?…三者のメリットを考えてみる
ここで、FP相談を実施するにあたってのマンションの販売側、マンション購入検討側(お客様)、そしてFPそれぞれのメリットをまとめてみます。
【マンションの販売側のメリット】
- お客様に販売センターに来場してもらう理由付け(きっかけ、口実)ができる。
- 将来の資金計画に不安があるお客様に「専門家からのお墨付き」の体裁で後押しをしてもらえる。
- 「利害関係のない第三者も購入を勧めている」という説得材料にもなる。
【マンション購入検討側(お客様)のメリット】
- 勤務先、収入、家族構成などから想定される将来の金銭面について具体的なアドバイスを受けられる。
- 「専門家からのお墨付き」による安心感を得られる。
- 生命保険の見直しも合わせたトータルでの資金計画をたてる材料を得られる。
【FPのメリット】
- 広告宣伝費をかけずに、「将来」を考えている層の顧客と面談できる。
一方で、この三者いずれも、デメリットについては即座には思いつきません。
…という意味では『Win-Win-Win』の関係とも言えるかもしれません。
FP相談会でメリット大は?…生命保険会社であるからこその売り込み
ところで、新築マンションの販売の現場には生命保険会社の営業マンから「FP相談会をやらせてくれ」というたぐいの売り込みがしょっちゅうあります。
大手のマンション販売会社ですと、グループ会社の保険会社数社の中から物件ごとに担当する会社、物件のエリアによる担当支社などを決めていることもあり、飛び込みの保険会社には割って入る余地はほとんどありません。
しかし中小のマンション販売会社の場合は、物件営業マンとのつきあいなどでFP相談会の機会をゲットして入り込んでくる生命保険営業マンもいます。
いずれにせよ、前項で取り上げた【FPのメリット】のとおり、広告宣伝費をかけずに「将来」を考えている層の顧客と面談する機会を持てることは物凄く大きなことです。
特に「マンションの購入を考えている顧客層」なわけですから、以前の記事でも紹介した、
- 結婚前後のペア
- 子供が小学校に入学する前
- 年齢でいえば30代から40代前半あたり
…という、生命保険の営業マンからしてみると、これ以上ない絶好の相手とお話しできる機会を得られるわけです。
さらに言えば、「マンションの購入を検討している…」ということは多かれ少なかれ、将来にわたっての金銭的な不安、家族計画、そして引退後のありかた、なども考えているに違いありません。
そりゃ、生命保険の営業マンの立場に立ってみると、「FP相談会をやらせてくれ」に一生懸命にもなるわけです。
決して「利害関係のない第三者」ではない…FPの立ち位置とは
さて、ここまでの中で、「お金に詳しい第三者」とか「利害関係のない第三者」などという言い方も使ってFPを表現もしました。
ここで、FPは本当に「第三者」なんでしょうか。
マンションの販売センターの一卓を使って行われる「FP相談会」。
もちろん、これからFP相談を受けに来るマンション購入検討者の担当営業マンはFPと事前に打ち合わせをします。
その際にこのお客様はどのような属性で、いくらくらいのお部屋を検討している、だから資金計画の部分で「大丈夫だ」という後押しをしてもらいたい…というような依頼をすることが普通です。
…多少、無理があってもです。
もちろん、FPの立場からしてみたらマンション販売側からの評価も受けたい、そして次のFP相談会の機会ももらいたい…ですよ。
何度も言っていますが、これ以上ない機会ですから。
ですので多少無理があっても、「お客様をその気にさせてしまう」トークは関心もしてしまいます。
ただ、お客様の側から立ってみますと、このあたりの内部事情は差っ引いて、冷静に判断をすることも必要でしょう。
FP相談会での常套パターンは?…知っていれば不要なはずの「FP相談会」
FP相談会でのFPの常套パターンをひとつ紹介しておきます。
住宅ローンを組むにあたっては団体信用生命保険、いわゆる団信の加入が原則、必須となります。
(例外はありますがここでは省略します。)
多くの方がご存知かもしれませんが、ようは生命保険、簡単に言えば住宅ローンを組んだ本人が死亡または高度障害に陥った際に、住宅ローンの残債が保険によって弁済される…という、あれです。
…ということは、現在加入している生命保険、見直してもいいんじゃないですか、というわけです。
その時、「今加入している生命保険で保険金額を減額しましょう」とは絶対に言いません。
「うちにはこんな商品があります」というわけで、加入している生命保険を解約させて自分の会社の保険を勧めてくるはずです。
さらにはそこに「お子様の将来」というキーワードを上乗せしてきます。
誰でも「子供の将来」という部分には弱いモノで、耳を傾けてしまいます。
無料であっても無限大のメリット…生命保険会社にとってのFP相談会
販売中の新築マンションのチラシやホームページなどの中でたびたび目にする「FP相談会開催中」の文字。
それが無料でできること、そして無料であっても生命保険会社の営業マンがこぞってやりたがる理由はおわかりいただけると思います。
別に「FP相談会」を否定するつもりはありません。
ただ、今回紹介した中身を知れば、別に受けなくてもいいや、となるかもしれません。
ちなみに、新築マンションの販売センターの営業マン、やたらと「FP相談会」をすすめる営業マンとそうでない営業マンがいます。
自分は後者、むしろ受けたいというお客様がいても、やんわりと受けさせないように仕向けてもいたくらいです。
だって、購入検討段階のお客様に何度も足を運んでいただく中の1回、もしくは複数回をFPの利益のために使われてしまうことが何となくシャクだとも思っていましたし、「FPがアドバイスする内容くらい自分でもやっちゃる」くらいの気でもいました。
最後に、マンション販売センターのスタッフの中には、なぜか「FPの先生」という言い方をする者がいましたが、別に先生でもなんでもありませんから。
対抗心や妬みがあるわけでは全くありませんが、念のため。
「マンション販売センターの【FP相談会】のメリットは|無料でも旨味は保険会社に」を最後までお読みいただき、ありがとうございました。では。