戦力外通告によって選手枠をつくりそしてドラフト会議へ…秋に想う

暑さが残りながらも、吹く風には確実に秋を感じられた2017年9月24日のZOZOマリンスタジアム。

千葉ロッテマリーンズの井口資仁選手の引退試合が華やかに執り行われました。

その余韻が冷めやらないまま、わずか一週間後。

一方では「毎年恒例」の第1次戦力外通告期間を迎えました。

引き際を自分で決められる選手はほんのひと握り…

井口資仁選手はプロ野球生活21年、その輝かしい球歴はあらためて言うまでもありません。

この域までくれば、極端に言えば続けるも辞めるも、自分で決められるくらいの立場。

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そして自ら「辞める」と判断して、球団から今回のような「引退試合」の機会を設けてもらえるなんていうのはほんのひと握りの選手だけ。

一方で、プロ野球選手の平均選手寿命は約9年、また引退時の年齢の平均は29歳だそうです。

もちろん、辞め方、辞めざるを得なくなった経緯などは選手それぞれ。

でも少なくとも、毎年ほぼ100人以上の選手が「辞める」という結果になっています。

非情でも…空き枠を作るためにも必要…戦力外通告

ちなみにこの記事を作成中の時点(2017年10月3日15時)で、各チームから発表された「来季の契約を結ばない」選手、いわゆる「戦力外通告」選手の人数は以下のとおりです(育成選手含む)。

セ・リーグ

  • 阪神 1名(公式HP)
  • 東京ヤクルト 11名(公式HP)
  • 中日 6名(スポーツ紙)

パ・リーグ

  • ソフトバンク 4名(スポーツ紙)
  • 千葉ロッテ 10名(公式HP)
  • 東北楽天 4名(公式HP)
  • オリックス 6名(公式HP)

まだこの時点で未発表の球団も多く、また今はまだ「第1次通告期間」(10月1日から全球団のレギュラーシーズン終了の翌日まで)。

この後にはさらに「第2次通告期間」(クライマックスシリーズ終了翌日から日本シリーズ終了翌日まで)も待っています。

特にこの第2次通告期間の間には「新人選手選択会議」…いわゆるドラフト会議があるわけです。

これはもう、誰にでもわかる単純な足し算引き算。

10人の新たな選手を入れようと思えば、10人分の空き枠を作らなきゃならないわけです。

見極める側にも大きな責任…「伸びしろ」の有無

支配下登録選手枠、育成選手枠のことなんかは、ここでは省略します。

毎年、何かと話題になるドラフト会議。

今では10位(10人)まで指名できるわけですが、もう単純に、5人採るなら5人分、10人採るなら10人分の枠が必要になります。

確かに、いくら甲子園で騒がれようが、大学野球や社会人野球で話題になろうが、どうしても当たりハズレもありますし、果たして本当に「プロの水」に馴染めるか、なんていう懸念もあるにはあります。

それに比べれば、たとえ2軍暮らしでも数年にわたってこの世界でやってきた選手の方がまだ計算できるのでは、なんていう気もしなくもありません。

でも、見る人が見れば違うんでしょうかね。

「見る人」…見極めなければならない立場の方々の苦悩もうかがえます。

選手個々の年齢や特徴はもちろんでしょうけど、「伸びしろ」の有無、取り組む姿勢…もう少し待ってみれば大成するかも…なんていう思いも持ちながらも苦渋の決断でしょう。

あこがれていたプロ野球選手…でも指名されることがゴールではない!

まさに、瀬戸際にいる、という自覚がある選手には悩ましい1か月ちょっととなります。

本人のみならず、家族をはじめとして応援している方々が必ずいます。

一方で、この道で生きてきた以上、この世界の厳しさも一番わかっているはずです。

このことも本人だけではなく、そのまわりの皆もわかっていたはずです。

今ではドラフト会議も生中継され、セットとなった番組では生い立ちや家族を取り上げたりしています。

ドラフト指名された瞬間の様子などもたびたび映し出されます。

確かにうれしいでしょう。

でも、心のどこかで、「ダメだった時」のことも覚悟しておく必要があるように思えます。

否定される方もいらっしゃるでしょう。

最初から「ダメだった時」のことを考えているようでは成功しない。

確かにそうです。

わずかな期間に見せつけられる「盛大なる引退試合」と「戦力外通告」

毎年、この時期になると考えさせられます。

例えば「千葉ロッテマリーンズ」のここ3年間を振り返っても、ちょうどこの時期、2014年は里崎智也選手、2016年はサブロー選手、そして2017年の井口資仁選手の盛大なる引退試合。

そしてそれぞれから1週間ちょっとで発表される「戦力外通告」選手たち。

毎年の、この短期間で否応なしに見せつけられてしまう「光と影」。

もちろん、引退試合を開催してもらえることだけが〇で戦力外通告を受けることだけが✕、であるかのようなことを言うつもりじゃありません。

でも、毎年の「この時期恒例」になってしまっている、試合内容とかとは別物の、ふたつの両極端のイベントを目にし、そして迎えるドラフト会議での概ね「歓び」の光景。

ちょっと話しはそれますが、今、概ね「歓び」、と言いましたが、あまり「歓び」を見受けられない指名もありましたし、これからもあるでしょう。

だからひと言、付け加えました。

話しを戻しますが、華やかにこの世界から身を引くことができる可能性は極端に低い、一方では毎年この時期に、戦々恐々と過ごさなければならないことを余儀なくされる…こちらの方が明らかに可能性が高い。

そんな世界に飛び込んでくる。

生半可な意識じゃダメなんだぜ!

…なんて言うと、経験者でもないくせに、なんて言われそうですが、経験者じゃなくてもわかります。

そもそも、野球が好きで、プロ野球が好きで、お金を払って球場に足を運んでいる身の立場から、だからこそ言わせてもらいます。

生半可じゃないプレーを見たいから、言わせてもらっています。

話題先行だけじゃなかった…と思いたい。京大卒の田中英祐投手…

最後に、千葉ロッテマリーンズから発表された戦力外通告選手の中に「田中英祐」という名前があります。

ご存知かもしれませんが、一部で「京大クン」なんて言われた彼です。

2014年のドラフト2位で、京都大学から入団、京都大学卒初のプロ野球選手として話題になりました。

当時、卒業後は三井物産への就職が内定済(当時の報道による)で、それを蹴ってプロ野球の世界に、ということでちょっとしたニュースにもなりました。

結局、プロ野球選手生活3シーズンで終わってしまいそうですが、あらためて当時の彼の、また家族をはじめ周辺の方々の決断には拍手を送りたい心境です。

「就職しておけばよかったのに」なんていう雑音も聞こえたことでしょう。

でも人生の重大な分岐点においてのこの決断には、プロ野球ファンのひとり、一個人としては拍手です。

本人がその時の決断を後悔していないことが大前提ですけどね。

これからの人生、まだまだなんでもできます。

決して回り道なんかじゃなかったはずです。

みんなが憧れる、「プロ野球選手」になれたわけですし。

これからの「田中英祐」に幸あれ!

・・・なんて言いつつ、何をやっても幸せになるんだろうなぁ…。

「戦力外通告によって選手枠をつくりそしてドラフト会議へ…秋の想い」

を最後までお読みいただき、ありがとうございました。では。

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