営業マンの大事な役割、お客様の期待値と現実のギャップの緩和

営業マンが売らなければならない商品、完全な商品はあるか?

前回、新車ディーラー営業職にとって陥るお客様との「意識のズレ」についてお話ししました。

営業マンの気持ちが一番盛り上がるのが「ご注文をいただく時」であるのに対し、お客様の気持ちが一番盛り上がるのが「納車される時」。

このズレがその後の悲劇を生み出す、なんて、ちょっと大げさな振りをしましたけど、今回もその辺についてもう少しお話しします。

前回の記事⇒新車ディーラー営業マンにとっての「納車」とお客様にとっての「納車」

自分が某輸入車の販売営業に携わっていたのは10数年前までのことですので、最近の事情については詳しくはありませんから反論される方もいらっしゃるかもしれません。

それよりもかなり以前から、日本国内はもちろんのこと世界的にも広く認知され、かつ「憧れ」の対象ともなっていたその某輸入車ではありましたが、一方で多くの方から悪いイメージも持たれていたその自動車メーカー。

一言で言ってしまうと「故障しやすい」というイメージも付いて回っていました。

ただし念のためお断りしておきますと、この「故障しやすい」というイメージ、残念ながら実際に決してイメージだけのお話しではなく、かなり、というかほとんど?当たってはいるんですが、実際に私が販売していたこのメーカーだけのことではなく、当時の輸入車全般に当てはまった、共通のワードだったんですけどね。

国産車と輸入車、決して埋まらない「文化の違い」

ところが数ある輸入車の中でも、世界的なブランドイメージ、そのデザインや性能、そして決して「高額すぎない」価格帯などから、多くの方々からのあこがれ、そしていつかは購入してそのドライブを楽しみたいというような対象となっていた車であった、いや今でももちろんそうだと思われます。

そういった、言葉で言い表しきれない程の「期待」を持たれて購入いただいたその車、期待が大きいだけにその反動も大きく成りうるわけです。

当時でもすでに各社の輸入車を乗り継いできているお客様からしてみると「こんなもん」というようなレベルであっても、国産車を乗り継いできて初めて輸入車を購入された方にしてみると「ガッカリ」ということがかなりの頻度で、確率で、割合で・・・起こるんです。

ましてや、日本の車の「品質」というのは実際に世界一レベルであることは間違いない・・・、そのイメージどおりだと思います。

要は、「コストのかけ方」が違うんですよね。

どの部分に開発においての重点を置くか、そして何よりも、日本人の「性格」によるものがかなりのウェートを占めていると思います。

この辺の話、突き詰めるとかなり長くなってしまいますし「自動車評論家」でもありませんのでこれくらいにしておきましょう。

商品を受取り、そして使ってみる。期待値が高いほど…

これまで同様、再三にわたる話の逸れ、になってしまいますのでここで本題に戻ります。

かなりの期待値を持って自分が注文した新車の納車を待っているお客様。

納車された車で早速ドライブに行くわけです。

ドライブとまでは言わないにしても、ちょっと車で買い物にでも行くか、となりますよね。

納車された新車をしばらく車庫に保管したまま、という人はまずいません。

そもそもそういう方はこの車は購入しません。

ただでさえ「ドライビングの楽しさ、歓び」を前面にして販売しているメーカーですから。

またまた逸れ気味なので戻しますが・・・、そして割と早い段階で初期トラブルが発生することがあるんです。

名誉のために補足しておきますと「すべての車が」と言っているわけではありません。

でも、10数年経った今でも記憶に残っているのは、残念ながら「苦い」方の経験ばかりなんですよね。

埋める意識は持ちながらも避けられない「温度差」

ある日、購入いただいたお客様のお宅にその車を納車に伺いました。

いわゆる「新車納車」です。

玄関の前に出て首を長くしてお待ちいただいている、とでも言えそうな、その方のお宅に新車で乗り付け、ひと通りの納車説明と内外装のチェック、残金を無事回収し、ニッコニコのお客様とお別れして営業所に戻ります。

すると、自分の帰社より先にそのお客様からの電話が入っています。

内容を確認すると、先ほど納めたその車、ガソリン漏れをしている、パワーウィンドウが動かない・・・、とのこと。

営業マンからしてみると、日々数ある納車の中で起きたひとつの「事象」とはいえ、まあさすがにこの時はショックでしたけどね。

まあこちらサイドの気持ちはともかく、つい先ほどまでのニッコニコのお客様の気持ちを考えると・・・。

これは実際に自分が経験したある事例ですが、かなりの頻度でこのような「期待値」の高いお客様を結果として裏切ってしまうような事が起こり得ます。

「かなりの頻度」という言い方、その度合いの表現は難しいんですが、先程も言ったように「苦い」記憶ばかりが残っています。

そしていきなり「結論」を言ってしまいますが、このお客様、その後も定期的にご購入いただけるお客様になっていただけました。

本当に取り留めなく経験談を紹介しましたが、要は温度差が生じがちな営業マンとお客様。

今も昔も、決して埋めたくても埋めきれない「温度差」かもしれませんが、埋めてみようとする意識を持つだけでも大分違うと思います。

その後の長い目で見た営業生活においてもね。ではまた。

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