
中身はこんな感じ
不動産営業マンにとっての「身をもって実感」することとは?
営業マンとして商品を販売する際、「身をもって実感」することでお客様に対する説得力が増し、それが最強の営業ツールであること、また決して盲目的ではなく商品の「欠点や弱点」も把握しておくべきというお話しをしてきました。
ところで、例えば自動車の営業マンならば割と気軽に・・・ではないかもしれませんが、「身をもって実感」することは可能です。
自分の車として購入すればいいんですから、とりあえずは。
でも不動産の営業ですとそうはいきませんよね。
仮に大金を持っていたとして、自分が販売しているマンションを一部屋購入して・・・。
ところがこれには全く意味がないんです。
何度も繰り返してきた自動車と不動産、商品の決定的な違い
以前、自動車営業マンと不動産営業マンの販売する商品の決定的な違いについてお話ししたことがあります。
その時の記事⇒不動産営業の商品最大の特徴は「世界に一つだけ」新車営業との違い
あらためて言っておくと、自動車営業マンが売る商品(ここでは新車のお話しです)は同じものが同じ値段でどこででも買える、一方で不動産営業マンが売る商品は「唯一無二」の商品だと。
あらためて言うまでもありませんけどね。
さらに不動産については「場所」というものが最大で揺るぎない「個性」であるというようなこともお話ししました。
ですから、仮に自ら一部屋購入して体感しようとも、同じ商品はもう売れないんです。
仮に同じ間取りでも上下で階数が異なれば、もう別の「場所」となります。
くどいようですが、不動産は「場所」がすべてと言っても過言ではないかもしれません。
・・・過言かもしれませんけどね。
でも、それくらい「場所」は重要です。
だから不動産営業の肝は、売らなければいけないその不動産の「場所」という部分についてどれだけお客様にアピールできるか、にかかってくると思います。
お分かりだと思いますが、決して「〇〇駅から徒歩〇分」という部分だけを指して言っているのではありません。
いわゆる「住環境」、具体的に言えば商業施設、学校などの公共施設、公園や医療施設等々。
隣の土地に何があるか、なんていうことも大事な要素になります。
もちろんそれぞれのお客様によって重視する部分は異なってきます。
家族構成や、例えば仕事が違っても重点的に求めるものは違いますよね。
検討対象になる=少なくとも「場所」は知っている…はず。
でも、ひとつ言えることがあります。
モデルルームを見学にいらっしゃるお客様、少なくとも、その物件の「場所」は知っているわけです。
知って来場されるわけです。
単に「場所だけ」、であることも多いですけど。
その、単に「場所だけ」は知っているお客様に、「場所の魅力」までを理解してもらえるか、という部分が不動産営業にとっての最重要テーマになります。
設備や仕様や、外観のデザイン、住戸の広さ云々はその次のテーマになります。
逆に、設備や仕様やデザインや広さなど、この辺がどんなに素晴らしかろうとも、「場所」がダメならダメなんです。
今回の最後に、この「場所」についての体験談をひとつ。
東京都世田谷区内のある高級住宅街のマンションの販売に携わっていた時、ホームページを見たお客様からモデルルームの見学予約をいただき、その時間、待ち構えていました。
ちょうどその来場予約時間の頃、一本の電話が入り、見学予約をキャンセルしたいとのこと。
お話しを聞いてみると、実はその直前にマンションの目の前まで到着しており、ちょっと上を見上げて検討対象から外れたと・・・。
実はそのマンション、建物の上空に送電線が横切っている物件でした。
当然に売っている側としては、それによる悪影響はないことをはじめ、様々な払拭材料を用意し、また価格面においても当然に考慮されたものではありました。
この場合、このお客様は「場所だけ」は知っていて検討対象にしていただき、見学予約を入れていただいた・・・。
ところがその「場所」に来てみたら、その「場所」に「欠点や弱点」があることを知ってしまい検討対象から外れてしまった・・・。
販売している側からしてみると決して「欠点や弱点」ではなかったんですけどね。
そのように納得していただけるための材料も用意していました。
ただ、そのお客様の「求めているもの」とは違っており、とりあえずのモデルルーム見学までにも至らなかった。
どんなに「中身」や「価格」が素晴らしかろうが、一番重要である「場所」の部分について検討対象にはしていただけなかった、ということです。
ここまで、営業マンサイドの視点でのお話しばかりになっちゃっていますが、次回以降、「お客様サイド」からの部分も少しお話ししてみたいと思います。
偉そうなこと言うつもりはありませんが、マンション購入のためのワンポイントみたいな。
では。